
押し入れから出してきたゲームボーイカラー(GBC)の画面が暗くて見づらい、ということがある。GBCの液晶は反射型で、外の光で見せる作りだ。この記事は、GBCのIPS液晶化について、画面が暗い仕組み、キットの選び方、分解の流れ、失敗しやすい点までをまとめたものだ。
この記事の根拠は、任天堂の公式ページ、iFixitのGBC液晶交換ガイド、FunnyPlayingのGBC用キットの商品説明だ。買うキットで手順が変わるから、最後は説明書に従ってくれ。
メーカーの案内について
任天堂は、ゲームボーイカラーの修理の受付を終了しています(任天堂サポート「修理の受付が終了した商品」)。任天堂の米国向けの注意書き(ゲームボーイシリーズ。ゲームボーイカラーを含む)では、本体や部品について「分解したり修理しようとしたりしない(保証が無効になる)」とされています。液晶の交換についての公式の案内は、今回は確認できませんでした。この記事で紹介する分解・部品交換の方法は、メーカーが案内している方法ではありません。試す場合はご自身の判断と責任でお願いします。
PR 本題の前に、工具だけ先に言っておく。GBCを開けるにはドライバーが必須だ。iFixitは、GBCの背面の6本にY字ドライバー、基板の3本に+ドライバーを指定している。合うビットが揃っていないと作業が始まらない。下のリンクは精密ドライバーセットの検索結果なので、GBC用のビットが入っているかは商品ページで見てくれ。
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GBCの画面が暗い理由|反射型TFT液晶でバックライトがない
ゲームボーイカラーは1998年10月21日に発売された。任天堂の製品ページは、液晶を「反射型TFTカラー液晶」と説明している。反射型は外の光を反射して表示する方式だ。任天堂の「ゲームボーイ全機種仕様対比表」で、バックライトの項目(ON時・OFF時の電池寿命)があるのはゲームボーイライトの欄だけで、GBCの欄にはない。
電源は単3電池2本
GBCの電源は単3アルカリ乾電池2本で、任天堂は連続で約20時間としている。ソフトや気温で変わる、という注記つきだ。後で書くが、IPS化したあとの持ち時間はキットで変わる。純正と比べた公式のデータはない。
GBAとの画面サイズの違い
任天堂の説明では、ゲームボーイアドバンス(GBA)の液晶はGBCの約1.5倍の大きさだ。GBC用のキットはこの小さい画面に合わせて作られていて、FunnyPlayingの商品ページでもGBC用とGBA用は別の商品として売られている。GBAの改造はGBAをIPS液晶化する完全ガイドにまとめてある。
GBC用IPSキットで変わること(発売元の説明)
IPS化は、純正の液晶を外して、IPSパネルに載せ替える改造だ。後付けのライトを足すのとは違って、パネルごと替える。以下はFunnyPlayingの商品説明にある内容で、運営者が測った値ではない。
- 表示範囲が広がる:純正の表示は43×41mm、IPS LCDは49.5×44.5mmで、表示面積は純正より25%増えると説明している
- 表示モードを選べる:5種類の表示効果を内蔵する。ドットをそのまま出す表示、GBC風の表示、格子線の表示などが挙げられている
- 明るさを段階で変えられる:商品ページでは、STARTボタンとタッチで上げ、SELECTボタンとタッチで下げると説明している
デメリットも書いておく。分解する改造なので、破損や配線トラブルのリスクはある。電池の持ちはキットと明るさの設定で変わる。FunnyPlayingは、LCDとリボンの消費電力を0.29〜0.68Wと説明し、室温20℃でバックライトを4段目にした試験結果として、純正カードの最低起動電圧を2Vとしたうえで、1.5Vのリチウム電池を勧めている(商品ページの記載)。明るくなったGBCで何を遊ぶか迷うならゲームボーイカラー名作ソフト16選も参考にしてくれ。
GBC用キットの選び方|シェル加工・はんだ付け・電源を確認する
キットの違いは、説明書どおりに付くかどうかに直結する。GBCで確認したいのは次の3点だ。
ポイント1:シェルを加工するか、専用シェルを使うか
FunnyPlayingの「GBC RETRO PIXEL IPS LCD KIT」のページは、純正の表示サイズが43×41mm、IPS LCDが49.5×44.5mmなので、表示枠を切る必要があると注記している。同じページには「About 2.0」(ラミネートのパネルとレンズ)と「About 2.1」(電源の取り位置の変更、タッチアンテナ内蔵)の説明もあるが、枠を切る注記がどの版に当てはまるかは、ページでは書き分けられていない。ラミネートのパネルについては、同社は自社のGBC用カスタムシェルへの取り付けだけを勧め、純正シェルの改造は非常に複雑だとして勧めていない。
発売元の説明から読み取れるのは、純正シェルを加工するか、専用シェルと組み合わせるかの2通りだということだ。しかも、専用シェルが対応するキットは決まっている。同社のGBC用シェルのページには、Retro Pixel GBC 1.0キットにはまだ対応していないと書かれている。別の発売元のキットは条件が違うかもしれないから、商品ページで確認しろ。
ポイント2:はんだ付けが要るか
FunnyPlayingの「GBC RETRO PIXEL IPS LCD KIT」のページは、GBC基板の電源管理の効率がよくないので、電源線をリボンにはんだ付けして、基板のスイッチから数えて3つ下の端子から電源を取る、と注記している。「About 2.1」には電源の取り位置を変えたとあるが、その版ではんだ付けが要るかどうかはページに書かれていない。「ハンダ不要」「solderless」と書かれたキットは、その商品ページの記載を自分の目で確認しろ。販売店の商品名に「no solder」「drop in」とあるGBC用キットもあるが、それは販売店の表記で、公式の資料では確かめられていない。書いていなければ、はんだ付けが要る前提で考えておけ。
ポイント3:電池と動作電圧
GBCは単3電池2本で動く。FunnyPlayingは、商品ページの試験結果(室温20℃、バックライトを4段目にした条件)として、純正カードの最低起動電圧を2V、EZ Flash Juniorで書き込んだカードでは2.05Vとし、温度で変わるので1.5Vのリチウム電池を勧めている。充電池を使うなら、そのキットが動く電圧かどうかを、商品ページか発売元に先に確認しろ。
もう1つ。FunnyPlayingは、シェルに入れる前に画面をテストするよう書き、取り付け後に画面が壊れた場合は保証しないとしている。買ったらまず、組み込む前に表示を確認しておけ。
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キットを選ぶときは、自分のGBC用と明記された商品かを、購入ページで確認してから買ってくれ。GBC用とGBA用は別の商品として売られている。
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作業前に準備するもの|GBCで要る工具
キットが決まったら次は工具だ。iFixitのGBC液晶交換ガイドが挙げている工具は、+ドライバー(#1)、スパッジャー(へら)、Y字のトライポイントドライバーだ。
Y字(トライポイント)ドライバー
GBCの背面はY字ネジ(トライポイント、トライウイングとも呼ばれる)で閉じられている。iFixitは背面に6本とし、そのうち下の2本は電池ボックスの中にあると案内している。普通の+ドライバーでは回らない。サイズは、iFixitの工具リストがY0、手順本文がY1と書いていて食い違う。iFixitのWiki(Game Boy Screwdriver)は、GBCにY1を案内している。買う前に、説明書や商品ページで合うサイズを確認してくれ。
精密プラスドライバー
iFixitのGBC液晶交換ガイドでは、基板を固定する3本のネジに+ドライバー(#1)を使う。背面のネジと種類が違うので、Y字と+の両方が要る。
プラスチックのオープナー(ヘラ)
iFixitの手順では、液晶を前面パネルからこじって持ち上げる。iFixitの工具リストにはスパッジャー(へら)が入っている。金属のマイナスドライバーだとシェルに傷がつくおそれがあるので、プラ製のオープナーがあれば使うといい(この記事の助言)。
専用シェル(キットに付かない場合がある)
FunnyPlayingのラミネート式キットは、同社のGBC用シェルに付ける前提で、シェルは別売りの商品だ。専用シェルが要るかどうか、どの世代のキットに合うかは、キットとシェルの両方の商品ページで確認しろ。
GBC IPS液晶化の流れ|背面ネジ6本から液晶の取り外しまで
この流れは、iFixitのGBC液晶交換ガイドとFunnyPlayingの商品説明から拾ったものだ。細部はキットの説明書が優先になる。分解には破損や断線のリスクがある。
STEP1:電池を抜き、背面のネジ6本を外す
電池カバーを外し、単3電池2本を抜く。背面のY字ネジ6本を外す。下の2本は電池ボックスの中にある。外したら、背面ハウジングをそっと持ち上げて離す。
STEP2:液晶のリボンを外し、基板を外す
iFixitの手順では、先にリボンケーブルの両側のツメをスパッジャーで押し上げてから、ケーブルを抜く。その後、基板の+ネジ3本を外して、基板を前面ハウジングから持ち上げる。ツメを上げる前にケーブルを引っ張るな。断線したら作業が止まる。
STEP3:純正液晶を外す
iFixitは、前面パネルから液晶をこじって持ち上げると案内している。前面ケースをひねるとてこが効いて外しやすい、という補足もある。ここから先は、買ったキットの説明書の順番に従え。
STEP4:IPSパネルを付けて配線する
FunnyPlayingの商品ページは、表示枠を切ることと、電源線をリボンにはんだ付けすることを注記している。専用シェル前提のラミネート式キットは、パネルを専用シェル側に収める。どの形のキットでも、付属の部品と説明書に書かれた位置と順番で取り付けろ。
STEP5:シェルに入れる前に表示を確認する
FunnyPlayingは、シェルに入れる前に画面をテストするよう書いている。ネジを締める前に、電池を入れて表示を確認しろ。映るか、明るさ調整が効くか、色ムラや線が出ていないかを見る。閉じてからやり直すのは手間が増える。この確認は飛ばすな。
STEP6:組み上げる
問題なければ、ケースに収めて元の順に組み立てる。ネジは締めすぎるとシェルの柱を割るおそれがあるから、止まったところで軽く止めておけ。
よくある質問
Q. GBA用のキットをGBCに使える?
使える前提では考えるな。任天堂の説明ではGBAの液晶はGBCの約1.5倍の大きさで、FunnyPlayingでもGBC用とGBA用は別の商品だ。購入前に、商品ページに「GBC用」と明記されているかを確認しろ。
Q. 電池の持ちはどう変わる?
キットと明るさの設定で変わる。純正(任天堂の表示で約20時間)と比べた公式のデータはない。FunnyPlayingの商品ページの試験結果(室温20℃)では、最低起動電圧が2Vで、1.5Vのリチウム電池が勧められている。充電池を使うなら、先にそのキットの動作電圧を確認しろ。
Q. はんだ付けなしでできるキットはある?
キットによる。FunnyPlayingの「GBC RETRO PIXEL IPS LCD KIT」のページは、電源線をリボンにはんだ付けすると注記している。ほかの商品や、ほかの発売元のキットは、商品ページの「ハンダ不要」の記載を確認しろ。記載がなければ、はんだ付けが必要と見ておけ。
Q. 改造後に画面に線が出た、映らない。原因は?
リボンケーブルの差し込み不良や断線が疑われる。iFixitの手順どおり、ツメを上げた状態でケーブルを差し直して確認しろ。改造と関係なく線が出る場合の切り分けはゲームボーイの画面に線が入る原因と直し方にまとめてある。
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まとめ|GBCは「専用シェル・はんだ付け・電源」を見て選ぶ
GBCは画面が小さく、キットごとに表示範囲と電源の条件が違う。最後にまとめる。
- キットは「シェル加工の要否」「はんだ付けの要否」「動作電圧」を商品ページで確認して選ぶ
- GBC用と明記されたキットを選ぶ。GBA用は別の商品
- 工具は、Y字(トライポイント)ドライバーと+ドライバー。プラ製のへらもあると安心
- リボンケーブルはツメを上げてから扱う。シェルに入れる前に表示を確認する
GBAの改造は手順もキットも別物だ。無印GBAが手元にあるならGBAをIPS液晶化する完全ガイドを読んでくれ。遊ぶソフトを探すならゲームボーイカラー名作ソフト16選がある。
参照した資料
- 任天堂|ゲームボーイカラー
- 任天堂|ゲームボーイ全機種仕様対比表
- 任天堂|ゲームボーイアドバンス
- iFixit|Game Boy Color LCD Display Replacement
- FunnyPlaying|GBC RETRO PIXEL IPS LCD KIT
- FunnyPlaying|GBC Retro Pixel Laminated Custom Shell
※本記事は分解・改造の一般的な流れを解説したものです。改造・修理は自己責任で行ってください。作業による本体の故障・データ消失について当サイトは責任を負いません。実際の作業は必ずご購入キット・部品の説明書に従ってください。



